スペック/SPECIFICATION
ZOWIE XL2566K(ゾーイ エックスエルニーゴーロクロクケー)は台湾の電気製品メーカーBenQのゲーミングブランド“ZOWIE”が手掛ける世界初の360Hzモニターです。
XL2566Kは2022年に初の360Hzモニターとしてリリースされ、現在ではVALORANT Champions tourなどのオフライン大会で幅広く使用されています。ZOWIE オリジナルの残像低減機能DyAc+に加え、360Hzというトップクラスのリフレッシュレートと公称値0.5msの応答速度、暗部の視認性を上げるBlackeEqualizer、更に特定の設定を簡単に再現できるXL setting to shareをサポートし、選手たちの力を最大限まで引き出すための工夫が施されています。
筆者のXL Setting (ダウンロード先)
24.5 inch
デザイン/DESIGN
大まかなデザインはこれまでのXLシリーズとさほど変わりません。ZOWIE特有のマットブラックな筐体に赤いZOWIEのロゴが施されたシンプルなデザインです。
他のモニターと異なるポイントはベゼルであり、流行りのベゼルレス(細いベゼル)ではなくあえて太めのベゼルが設けられています。これは「プレイヤーがモニターの映像に集中しやすくさせるため」らしく、ZOWIEのモニターはすべてこのデザインが採用されています。
他にもZOWIEこだわりの特徴として、スタンドに高さや角度を目視で確認することができる目盛りがついていたり、モニターの背面に気が散らないようにするためのアイシールドなんかも付属しています。
とにかく全体の特徴として一目で使用されているモニターがZOWIEのモニターだとわかるような工夫があり、オフライン環境で選手がいつものモニター設定を再現しやすくしたり、パフォーマンスに悪影響を及ぼさないような工夫がされているように思えます。
組み立て方/How to Setup
360Hzのメリット
360Hzと240Hzの差は確かに感じられます。しかし少なくとも60Hzから144Hz、144Hzから240Hzに買い替えた時ほどの感動はなく、恐らく他の人が見ても同じような感想になると思います。
360Hzは240Hzと比べて滑らかさが増し、映像のブレも少なく見えます。これらの違いについてはVALORANTなどよりも、OW2などのトラッキングメインのゲームをプレイした方がわかりやすく、気のせいかもしれませんが画面から離れるほどその差がわかりやすい気がします。
モニターキャラクターが左右に動くときに周辺にゴースト(残像)が発生しますが、60Hz(左)では明らかに大きく、360Hz(右)ではそのゴーストが小さくなっていることがわかります。映像が滑らかに感じることは高リフレッシュレートモニターを購入した恩恵としては代表的なものですが、実はこのゴーストが少なくなることで対象物が見えやすくなることも重要だったりします。(実際はっきり見えることで滑らかに見えるというのもあるでしょう。)
このゴーストを意識して再度360Hzと240/120/60Hzを比較してみると目視でも明らかに残像感が減っていることがわかります。(詳しくはYouTubeをご確認ください。)
Black eQualizer について
Black Equalizer(ブラックイコライザー)は個人的にDyAc+と同じくらい評価している機能の一つです。この機能は1~20段階で設定することができ、モニターに映る映像の明るい部分を強調することなく、暗い部分のみを明るくすることができます。つまりBlack eQualizerを使用する事で、暗い角や影に隠れている敵を一方的に見つけやすくなります。
Black Equalizerは映像そのものには干渉していません。写真や映像を編集したことのある人はわかりやすいかと思いますが、あくまでも映像を映し出すモニター側で暗部を見やすく調整しているだけです。故に設定を上げすぎると色が破綻したり、元々明るい部分がまぶしくなってしまうこともあります。ゲームによって暗部の暗さが違ったり、そもそも人によってモニター設定や部屋環境が異なるため誰にでも合う最適な設定というのを提示しにくいのが欠点です。うまく活用すればかなり有用な機能なのでぜひ活用しましょう。
DyAc+ について
DyAc+(ダイアックプラス)とは映像において視点及び物体が激しく動く際に発生するモーションブラーを軽減するために、BenQ ZOWIEによって設計されたテクノロジーです。
ゲーム中の激しい画面の揺れを軽減し、例えばCS:GOにおけるリコイルコントロールやオーバウォッチにおける敵の視認性などを改善するのに役立ちます。 それは人によって異なり、その差はごくわずかですが、競技シーンにおいて1%の違いを生み出します。
(参照: https://zowie.benq.com/ja-jp/what-is-dyac.html)
わかりやすい例としてDyAc+のプレミアム/高/オフ設定をスローモーションカメラで撮影し、比較してみました。明らかにオフ設定(右)と比較して高設定(中央)のほうがはっきりとUFOが写っていることがわかります。しかしまだ高設定ではUFOの輪郭と目の輪郭がぼやけています。プレミアム設定(左)に引き上げるとそれが更にはっきりすることがわかると思います。基本的にはプレミアム設定で運用するのがいいでしょう。
ただし一部の人にはDyAc+が合わず、眼への負担が増えるという説があります。筆者はそのようなことはありませんでしたが、もし使用してみてそれらの症状がみられる人は勿体ないですが設定を下げたり無効にしたほうがいいと思います。
購入方法/How to buy
XL2566KはAmazon、楽天及びベンキューダイレクトショップで購入することができます。海外から取り寄せたりする必要はなく、日本国内でアフターサポート窓口も設置されているためその点に関しても問題ありません。
ただしTSUKUMOやアーク、PCワンズなどのリアルショップでは実は取り扱いがされていないため、実際に触ってから購入したいという人はゲーミングカフェなどのサービスを利用するか、Best Oneという新しいレンタルサービスを使用してみるのもいいかもしれません。
まとめ/Summary
結論としては色の再現性とコストパフォーマンスを重視する人は避けるべきだと思いますが、もしそれが気にならないのであればXL2566Kは購入する価値が十分にあり、高いコストに保証されたスムーズさと応答速度を再現してくれると思います。実際自分は約半年間XL2566Kを使用していますが、使用し始めてから360Hzが無駄だと思ったことはありませんし、IPS240Hzを持っているからと言って、360Hzを捨ててまでIPSに戻そうと思ったことは一度もありません。
金額からわかる通り万人受けする製品ではないため、迷う理由が価格や画質であればいったんステイするのがいいと思います。また現在はASUSやLGなど様々なメーカーから色の再現性もよく残像感も少ない有機EL(OLED)ゲーミングモニターがリリースされ、同じ価格帯であるXL2566Kの魅力が半減しているのも事実です。
これらの情報を総合的に見て、人によってはXL2566Kよりもいい選択肢が出始めていることは否めません。ただしZOWIEならではの大会採用実績や有名選手の長い使用実績があるのは確かです。価格/性能的に見てもかなり迷う製品ですが、どのメーカーを購入してもこの手のハイエンドモニターで「損をした。」とはならないと思いました。
PR:ZOWIE JAPAN様よりサンプルを提供して頂いています。(トップにも記載)
- 360Hzという高速リフレッシュレート
- 公称値0.5msという応答速度
- プロの設定を簡単に再現できるXL Setting to Share
- 最高級の残像低減機能DyAc+を搭載
- 複数タイトルのオフライン大会で使用される高い信頼性
- 約10万円という価格
- 低い視野角
- 360Hzを出力するためのPCスペックが必要